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ここは2036?~004~

ここは2036?~004~

僕ら三人で暮らし始めてちょうど半年、2036年の春を迎えた。

あれから僕は、ハーについてハウリンと話し合った。
僕らが話し合った内容、それはハーが拾われたことを秘密にすること。

神姫には、人間と似た自立型の思考ロジックが組まれている。
つまり、それは喜怒哀楽の"心"があるということだ。

だから、もしもハーが自分が捨て子だったという事実を伝えられればどうなるか。
…僕もハウリンも、ハーが悲しむ姿なんて見たくない。

いつかは話さなければならないことだけど、今はその時期ではないと思う。

ハウリンもそのことは深く受け止めてくれて、ハーのことを気遣いながら大事に面倒見てくれている。

そんな関係からか、ハーの中のハウリンの位置づけは、いつの間にか"ハーの姉"という設定になっていた。
今ではハウリンのことを『お姉ちゃん』と呼んでいる。

…僕には『わふ』としか聞こえないけど。


◇◇◇

「3月に入ったけど、まだ朝は寒いなぁ…」
僕は亀のようにコタツから首だけ出し、身体ごと温める。
『私もまだ暖機モードから抜け出せないんですよ…』
そういいながら、ハウリンもコタツの中に入っていく。
神姫の暖機って、本当にこれがいいのだろうか?
『わふふ〜♪』
コタツの外でスーパーボールを転がして遊んでいるハーを見ると、何だか違う気がする。
「…そろそろコタツ片付けるか」

◇◇◇

ハウリンの抗議を受けながらも、僕はコタツ布団を日干しする。
外の気温は日が出ているためか、思ったほど寒くはなかった。
が、それなのにハウリンはコートを着出して暖を取ろうとする。

…もしかして、ハウリンを家犬として扱ったのが悪かったのかも?
『わふー♪』
『ハー、寒いから遊ぶのは後ね…』

…家犬どころか、駄犬である。

そんな二人を眺めて、ふと気が付いた。
「ハウリンは洋服着るけど、ハーは洋服着ないよね?」
『わふ?』
『前に私の服を着せたら嫌がったんですよ』
「ハーは服嫌いなの?」
『わふわふー』
ハーが何かを答えるが、通訳のイッチーが見当たらない。
「イッチーどこいった?」
『クレイドルでへたってますよ』
ハーのクレイドルに目を向けると、イッチーがコロリと転がっている。
『姐さんの遊びに付き合いやしたら、バッテリーを激しく消耗しやして…』
そういえばハーがボール遊びする前、二人で鬼ごっこしてたっけ。

◆◆◆

『わふー♪』
『姐さん、次は鬼ごっこですかい?
え?全力で逃げてって、何で武装つけて臨戦体制にーーひぃ、狩られるッ!?』

◇◇◇

…ハーが武装状態で全力で逃げるあたり、鬼ごっこのゲームバランス崩れてる気がする。

『姐さんはゴワゴワした布が嫌いでして、モフモフの布なら喜びやすぜ?』
そういえば、昼寝する時にハーはよく毛布の上で寝ていたのを思い出す。
『モフモフの服と言っても、私の持っているのはこのコートくらいですね』
「そもそも、ハーは服欲しいのかな?」
『マスター、神姫は女の子ですよ?お洋服の嫌いな女の子はいません!』
「うーん、じゃあハウリンのコートをハーに…」
そういいながらハウリンに目をくれると、ハウリンは身を固めながら猛抗議。
『いま着てるコートを脱げ何て、マスターは鬼ですか!?
もう節分も終わったんですよ!?
あ、でも豆は台所の棚に残ってるので賞味期限が切れる前に食べて下さい。
勿体無いので』
抗議する内容はともかく、そういうところはシッカリしてるのがハウリンらしい。
「豆はオヤツにでもするとして、ハーは服が欲しい?」
『わふー?(服って必要なの?)』
「…必要なの?」
『何で私に聞くんですか?』
「いや、今までそんなこと考えてもなかったから…」
『必要ですよ?
紫外線からの外装の肌焼けを防いだり、このように寒い日には暖機の助けになりますし』

◇◇◇

「神姫に洋服って、機能的には必要ないですよ?
紫外線は専用のスプレー吹けば防げますし、服なんて暖気の助けにもなりませんよ」
神姫ショップの女性店員さんが丁寧に答えてくれた。
「…ハウリン?ハウリンさーん?」
僕の胸ポケットに入っているハウリンは、先ほどから気まずそうに目線をそらしている。
同じく胸ポケットに入ってるハーは、ハウリンを不思議そうに見つめていた。

「つまるところ、服はただのアクセサリーな訳ですね」
そう答えると、店員さんの目付きが一気に変わる。
「そうですが…やっぱり神姫も女の子なんですよ!
それに、マスターの洋服選びは神姫への"愛のカタチ"が具現化したと言っても過言ではありません!」

店員さんが答えると、ショップ内の客が洋服コーナーへと流れていく。
「うちの娘には、やっぱりこのゴスロリ系がーー」
『マスター、ボクは男の子っぽいのがいいんだけどー』
「紗羅檀にはチョッと露出のある魅せる系がーー」
『マスターはエッチですわー。あまり見ないでくださいましー///』
「イーダに合う服が見当たらない…」
『エレガントな私に似合う服なんて、このような店にはありませんわよ?』
「ああ、このサラシでいいか。
隠せるとこ隠せるし、強く締めたって言えば言い訳もできるじゃん?」
『喧嘩売ってますの!?』

…紳士たちの話の邪魔をしてはいけないので無視する事にする。

『とにかく、私たち神姫にとって服というのは武装に並んで必要なステータスです。
それに、マスターだって気に入ってくれてるじゃないですか』
「それを言われると反論できないなぁ…」
実際、服を着たときのハウリンは素体状態より数倍可愛いくなる。

ハウリン型の武装状態といえば、見た目からも分かる負けん気の強そうなアーマーを着込んでいる。
だから、最初はカッコイイ系の服を選ぶものかと思っていたけど、いざ選び始めたらフリル付きの乙女なドレスだった。

強気な子が服装を変えるだけで乙女とか、どんなラノベ設定なのか…。

まったく……好きだからいいけど!

『わふー?』
だから、ハーがどんな服を選ぶのか興味がある。

同じハウリン型だからハウリンと同じ服を選ぶかと思うけど、実際そうとは限らない。
例えば、ハウリンはイチゴ牛乳味のヂェリカンが好きで、ハーは濃厚ミルク味のヂェリカンが好き。
神姫には心があるから、こんな感じで好みも若干ながら違いが出る。
ハーがハウリンのお下がりの服を着なかったのにも、きっと好みがあるからなんだと思う。

「ハーは服とか着てみたい?」
『わふ、わふ…?(着ても、いいの?)
ちなみに、いま訳してるのはハウリンで、イッチーは家にあるクレイドルで休んでいる。
「ハーが興味があるならね?」
『わふー!(じゃあ着るー!)』
ハーは僕のポケットから外に出て、洋服コーナへと飛ぶように走って行く。

「ハーはどんな服を選ぶのかなー?」
『…マスター、いまのセリフの語尾にハァハァって付けて下さい』
「ハウリン、それ変態扱いだよね!?」
先ほど洋服コーナーにいた紳士たちが、こちらを見ながらサムズアップしてくる。
一部は手招いてもいるが、やはり無視することにした。

◇◇◇

ハーの洋服選びは、数分もかからなかった。
どうやら、前にショップへ来ていた時に目星をつけていたようだ。
『わふっ!(これに決めた!)』

ハーは商品棚に置いてある服を手に取るなり、僕に見せた。
それは他の服に比べるとお手頃価格の…
『…ケモ耳のフード?』
「ハー、コレあんまりモフモフしてないけどいいの?」
『わふ、わふ…(いいの、だって…)』
ハーは服を胸に抱えながら嬉しそうに答えた。
『わふ、わふわふふー♪(だって、ハーはマスターの犬だから♪)』

思わず紳士たちと一緒にサムズアップしてしまった。

◇◇◇

『ハー、あんまり恥ずかしいセリフ言わせないでよ?』
家への帰り道、ハウリンは頬を染めながらハーに話しかける。
ハーは何でそれが恥ずかしいことなのか理解できないのか、首を傾げている。

『しかし、ハーは服が欲しかったんじゃなくて、私みたいなケモノっぽい耳が欲しかったんですね』
ハーは、自分が神姫ではなく、犬だと思い込んでいた。
今は犬に服を着ることは珍しくもないけど、ハーにしてみれば犬が服を着ることは変なのだと感じていたらしい。
そのせいで、服を着ることを嫌がっていた。
でも、僕が誘ったおかげで服を着ることが普通のことだと考えを変えたようだ。

あと、ハーは犬耳が無かったことも気にしていた。
それを解消するのに、ケモ耳がついたフードを選択したのだとか。

しかし、自分を犬だと信じ込むなんて考えもつかなかった。
これには流石の僕も驚いた。

『でも、これならフードじゃなくて耳作ってあげれば良かったのでは?』
ハウリンが自分の犬耳センターに触れながら答えると、ハーは服の耳を触りながら答えた。
『わふ、わふわふ(フードでいいよ、これ気に入ったし)』
「僕も可愛いからいいと思うよ?」
僕は人差し指でハーの頭を軽く撫でてあげる。
すると、もっと撫でて欲しいのか頭を指に押し当ててくる。
理解しているとはいえ、やっぱり仕草は犬っぽい。

「さてと、そろそろコタツ布団が日干しできてる頃だし、帰ろうか!」
『はい、マスター!』
「わふー!」


「それにしても、今日は何でショップに行ったんだっけ?
何かあって、流れでこうなったような…」

『さ、さあ?
何だったんでしょうねー?』

「うーん…」
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霧ヶ咲 こかげ

Author:霧ヶ咲 こかげ
GUNMAに住む隠れ武装紳士。
部屋を片付けても、神姫の箱に占領される一方。

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